「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下「バリアフリー法」)および同施行令の改正が公布されました。
それぞれの具体的な公布日はバリアフリー法が令和2年5月20日、バリアフリー法施行令が令和2年10月2日です。
施行令には法適用の対象として追加される具体的な用途などが定められましたので簡単に解説します。
令和2年改正バリアフリー法施行令の具体的な改正部分
まず、今回のバリアフリー法改正についての国交省発表はこちら
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定
上の画像はバリアフリー法施行令の改正部分の抜粋です。
用語の追加があり、バリアフリー法の対象となる用途も追加となりました。
画像に書き込みましたが、追加された用途のうち旅客特定車両停留施設(バス等の旅客のための道路施設)は道路法によるものですので、建築確認には影響がありません。
そもそも今回の改正の目的が
「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとしての共生社会の実現に向けた必要な制度整備」
となっており、国際的に注目されるこの機会にしっかりやっておこうというのが狙いでしょう。
令和2年改正バリアフリー法施行令で新たに対象となる用途
建築基準法(建築確認)に関係する改正内容としては、公立小中学校が新たに対象用途に追加されました。
これまでは学校関係では特別支援学校だけがバリアフリー法の対象となる特別特定建築物となっていましたが、改正法では
第5条
法第2条第十七号の政令で定める特定建築物は、次に掲げるものとする。
一
小学校、中学校、義務教育学校若しくは中等教育学校(前期課程に係るものに限る。)で公立のもの(第23条において「公立小学校等」という。)又は特別支援学校
以下略
となります。
ここでよく理解しておくポイントとして、「公立学校」とは地方公共団体の設置する学校のことで、国の設置する学校は除かれますので注意が必要です。
つまり、「国立」「私立」の小中学校は対象とならないということです。
市区町村の公共建築を手掛ける事務所の方は影響があるでしょうから、しっかりと把握しておきましょう。
令和2年改正バリアフリー法施行令の施行日と注意点
令和2年改正バリアフリー法および施行令の施行日は
令和3年4月1日
です。
経過措置として、施行日に工事中の公立小学校等の建築・修繕・模様替については、改正規定は適用されないこととなっています。
公共建築の性質上、年度ごとに予算計画が取られていて、設計や施工監理で年度が分かれることはよくあります。
特に小中学校となると事業規模も大きいため、例えば今年(令和2年)中に建築確認を受けて、来年(令和3年)の4月2日以降に着工するようなケースもあるでしょう。
その際は、施工日に工事中ということにならないため改正法の適用を受けます。
つまり、バリアフリー法に適合させるような設計となっていなくてはなりません。
建築確認では審査の対象とならないものの、予めバリアフリー法に適合するような設計とする必要が出てきます。
予算や工程に与える影響は少なくはないでしょうから、正確に把握しておきましょう。