既存不適格建築物への増築におけるシックハウス対策は換気経路がポイント
シックハウス対策の基本
今ではもはや常識となった、建築物のシックハウス対策。
シックハウスに関する法改正は平成15年に行われました。
(建築基準法第28条の2 平成15年7月1日施行)
第二十八条の二
建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
一
建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第三号において「石綿等」という。)を添加しないこと。
二
石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
三
居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。
既存不適格建築物への増築時はシックハウスの計算はどうする?
そして今回は、増築する場合もこのシックハウス対策を適用しなければならないかどうか、というお話です。
結論はズバリ、建築基準法施行令第137条の15に書いてありました。
(増築等をする部分以外の居室に対して適用されない基準)
第百三十七条の十五
法第八十六条の七第三項 の政令で定める基準は、法第二十八条の二第三号 に掲げる基準(第二十条の七から第二十条の九までに規定する技術的基準に係る部分に限る。)とする。
つまり、法28条の2第3号の規定は「適用しない」といっており、既存遡及しないことになっています。
換気経路によるシックハウス対策の検討の要否
しかし、安心してはいけません。
少し考えればわかりますが、いわゆる換気経路が増築部分だけで完結していれば適用されませんが、増築部分から流入した空気が既存部分を経由することになる場合は、遡及される、すなわち既存部分についても換気設備の設置や換気回数を満足しているかを示さなくてはいけません。
要するに、余計な労力やコストをかけないためにも、増築部分だけで換気計画が成り立つように計画すべし、ということです。
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