建築基準法には2種類の特殊建築物がある
特殊建築物の定義
特殊建築物というと、読んで字のごとく、建築物の中でも「特殊」なものとしてカテゴライズされています。
どういうふうに特殊かというと
- 不特定または多数の者が使用、就寝する
- 火災発生の恐れがあり、その比重が高い
- 周辺環境に与える影響が大きい
と大別され
2は工場や倉庫、自動車車庫や自動車修理工場などが該当し
3は火葬場や汚物処理場などが該当します。
1はそれこそ、学校、病院、スーパーマーケット、集合住宅、遊技場等々もっとも該当する用途が多いものとなっています。
そして、上記123の理由により、防火避難規定に対しては特にその他の建築物より厳しい規定が設けられています。
法2条2号による、特殊建築物
特殊建築物を定義する条文は建築基準法第2条二号に規定されています。
二
特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
法別表第一(い)欄に掲げる特殊建築物
ただし、よく混乱してしまうのが、これ以降の条文に登場する「特殊建築物」には何らかの条件が付けられています。
例えば建築基準法第6条1項一号では
別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物
とあり、特殊建築物でも別表第一(い)欄に掲げるものしか該当しないんです。工場とかと畜場とかは含まれていませんよね。
法35条だったら、別表第一(い)欄のなかでも(1)から(4)までですし、法35条の3だと別表第一(い)欄(1)のみとなっています。
これらを簡単に表にまとめたのがこちらです。
ちょっと画像サイズがテキトウなため、見にくくてすみません。
事務所は特殊建築物ではない
また、事務所という用途は、法2条二号にも、当然別表にも記載はなく、特殊建築物ではないというのも少し不思議な気がします。不特定ではなく、特定多数という解釈なのでしょうか。
いずれにしても、特殊建築物であれば、規制が盛り込まれた条文がいくつも関連してきますから、見落としがないようにしなければなりません。建築確認の段階で根本的なミスがあったりすると、なんといっても時間的なロスと精神的なダメージのダブルパンチになってしまいますので・・・。